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2025.3.3[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA 2025 ]FW40 唐山翔自
昨年の戦いを通してチームのキーワードになった『熱量』。
それは、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その熱量の裏に選手それぞれが宿す『スピリット』にスポットをあてる。彼らの魂や熱意、決意は、今シーズンのガンバにどんな力を与えてくれるのだろうか。
子供の頃から「負けたくない」「もっと活躍したい」という思いで進んできた。もっとも、常にチームの主軸として戦っていたアカデミー時代とは違い、思い通りにいかないことが圧倒的に増えたプロキャリアの方が当然、その気持ちは強くなっている。と同時に、そのスピリットはいつも唐山の欲を膨らませてくれる。
「試合に出られなくて悔しいとか、結果が残せなくて悔しいって感情は、勝負の世界では当たり前やと思うんです。なので、それはある意味、サッカーを始めてからずっと持ち合わせてきたものですけど、プロになってからはその感情が、単なる悔しいではなくなったというか。悔しい、の先に『だから、何ができるか』とか『ガンバで絶対にポジションや結果を掴んでやる』という思いを必ずセットで考えるようになった。と言っても、この世界ではそれを数字で示せないと意味がない。厳しいポジション争いの中でチャンスを引き寄せるためにも、今はとにかく、結果だけを求めて、自分自身と戦っています」
そうした感情をより強く備えるようになったのは、昨シーズン、初先発した4月の横浜F・マリノス戦で掴んだ手応えがきっかけだという。それをより大きなものにするためには『試合に出る』ことが必要だと感じ、ロアッソ熊本への育成型期限付き移籍を経験したことも「やれる」という確かな自信に変わった。
「幼稚園の年長組の時からガンバで育った僕にとって、プロとしてガンバでプレーするってめちゃめちゃ特別なことでした。高校3年生だった20年に初めてJ1リーグに出場できた時もめちゃめちゃ緊張したのを覚えています。でも、そんなふうにガンバへの思いが強すぎたがゆえに、20年に全く通用しない自分を感じてからしばらくは、それがトラウマになってしまっていたというか。以降、ガンバで試合に出ることをめちゃめちゃ難しくて特別なことやと感じすぎていた気がします。いや、実際、今も難しいんですけど(苦笑)。でも去年、マリノス戦でようやく、そのトラウマが取り除けたというか。そこでは数字を残せなかったので信憑性がないけど、あの試合で掴めた自信があったから『とにかく今、このタイミングで試合経験を積み上げなアカン』って思い、熊本への武者修行にも出ました。その中で、継続的にJ2リーグを戦いながら、点も取れて…その経験も力になって、今年、プロになって初めて自分に対する自信をしっかり持ってプレーできている気がします」
だからこそ、あとは、それを大きな愛着を寄せる『ガンバ』で本物に変えられるか。近年はサイドでプレーすることが増えている中で、求められる役割と、自身がイメージするプレーを使い分けながら、ゴールに結実できるか。
自分が目指している場所に、たどり着くために。
「さっきも話した通り、僕にとってガンバは特別なチーム。期限付き移籍をするたびに、それを実感してきました。だからこそ、このガンバで、宇佐美さん(貴史)みたく、ガンバ=唐山だと認識してもらえるくらいの存在になりたい。絶対にここで活躍したいと思っています。そのためには守備力も含めて、まだまだ磨かなアカンけど、この世界は結果次第で状況を一変させられることもあるので。とにかく今は、アシストや得点など、明確な『一発』で、自分の置かれている状況を一気に変えてやろう、ということだけに気持ちを注いでいます」
週末に迎えるJ1リーグ第5節・清水エスパルス戦は、唐山にとって、先に書いた「全く通用しない自分を感じた」、20年の苦い経験が残る対戦相手の1つ。あの時から4年近い月日を経た自分が何を示せるか。そのことに不安ではなく、ワクワクとした気持ちと自信を胸に挑めることが、楽しみで仕方がない。
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高村美砂●文 text by Takamura Misa
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