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2025.2.13[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA 2025 ]DF20 中谷進之介

昨年の戦いを通してチームのキーワードになった『熱量』。
それは、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その熱量の裏に選手それぞれが宿す『スピリット』にスポットをあてる。彼らの魂や熱意、決意は、今シーズンのガンバにどんな力を与えてくれるのだろうか。

 幼少の頃から、泣き虫だった。2歳上の兄とは仲が良く、いつも後をついて遊びに出掛けたが、その度に泣き面で家に帰った。
「次男坊にはよくある、兄ちゃんを見て追いつけ、追い越せ、で育ったんですけど、サッカーでも遊びでも、いつも負けて泣いていました。昔のことはほぼ覚えていないのに、兄ちゃんと公園で遊んだ帰りに泣いていた、みたいな記憶だけは色濃く残っているから、よほど悔しかったんでしょうね」
 サッカーを本格的に始めてからも、その経験が原点になったと振り返る。
「育ってきた過程でいろんな『悔しさ』を経験してきたし、柏レイソルU-15やU-18時代もそれは変わらなかったけど、いつも、負けてたまるか、って気持ちで向かっていけたのは、小学生になる前には出来上がってきた『負けん気の強さ』があったから。サッカーでも勉強でも、学校行事でも、常に一番になりたいって思いが自分を強くしてくれた」
 そんな中谷進之介だが、プロになってからは、悔しさから泣くことはなった。常に自分の物足りなさを自覚していたからだ。
「正直、プロとしては『自分には足りないところだらけ』『まだまだ成長しなくちゃいけない』というところからのスタートだったので。その状況を乗り越えるには、もっと練習するしかない、ってことが全てでした。そういう意味では『悔しいから頑張る』から『自分に足りていないと自覚して頑張る』ようになったし、それは今も気持ちのど真ん中にあります」
 試合に出られなければ、出られるようになるために。ピッチで、もっといいパフォーマンスができるようになるために。勝つことに貢献できる自分であるために。現状から逃げずに、向き合って乗り越えようとすることで成長を見出してきた。
「いつも上には上がいると思っていたし、周りの選手を刺激にもっともっと、と思っていました。それは向上心というより、僕自身がすごく欲深いから。何か目標をクリアしたとしても、もっと巧くなりたい、優勝したい、海外でプレーしたい、日本代表に入りたい、っていうように、あれもこれも欲しいって思っちゃう。今であれば、まず7月に予定されている東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国を戦う日本代表には絶対に選ばれたいって明確な目標がありますしね。去年、ガンバにきて、いいシーズンを過ごせたからこそ、よりそこへの想いは強くなったし、そのためにまずはチームで明確な結果を示さなくちゃいけないと思っています」
 今シーズンを戦う上で自身に求めるのは、これまで通り「自分のパフォーマンスで失点を少なくする」ことを前提に、自身の欲をチームに伝染させること。昨年最終ラインで示した守備力、統率力をより高いレベルで発揮することを心掛けてピッチに立つ。
「僕のサッカーは、とにかく勝ちたいという思いが全て。勝ちたいから闘うし、体を張るし、勝ちたいから走るし、ゴールも狙う。そのメンタリティはチームにもっと伝染させていきたいと思っています。ポジションは待っていれば得られるものではなく、自分でガツガツ、掴みに行くもの。自分に何が足りていないのか、何を磨けば試合に出られるのか、にしっかり向き合いながら、個々の欲が溢れるチームになっていけば、もっとガンバは強くなれる。そのためには僕自身ももっとやらなくちゃいけないし、その中で自分の立場、責任を考えればこそ、チームに厳しさも求めていかなくちゃいけない。練習中の声掛け一つとっても、単に盛り上げるのではなく、より高い要求の声にするとか、チームとしてやるべきことをサボっている選手がいたら厳しい声を掛けるとか。声の質もより意識していこうと思っています」
 最終ラインで漲らせるその欲は今シーズンもきっと中谷を、ガンバを更なる高みへと押し上げる。



高村美砂●文 text by Takamura Misa