NEWS
ニュース
2024.6.19[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW17 山下 諒也
プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。
キャリアでもっとも苦しんだ経験は今、彼の強さとしてピッチで躍動を見せている。
日本体育大学を卒業するにあたり、プロサッカー選手としてのキャリアを探っていた山下は当時、所属チームが決まらないまま2020シーズンを迎えていた。
「東京ヴェルディの練習にはずっと参加させてもらっていたんですけど、なかなか契約が決まらなくて。シーズンが始まり、キャンプが始まる段階になっても状況は変わらなかったんです。その時に、プロの道を諦めるしかないのかと思うと、とにかく苦しくて。一人になると勝手に泣けてきたりもして、本当に人生のどん底にいました。当時のヴェルディは、同ユース出身者か、大学を経由してヴェルディに戻る選手を獲得する流れがあったので、ジュビロ磐田ユース出身の僕はそこにハマっていない時点で無理なのかなと考えたり…。そんな不安の日々を過ごしていたら自分にも自信がなくなって、メンタルもギリギリの状態で持ち堪えていました」
忘れられないのは、契約が決まらないまま東京ヴェルディのキャンプに出発することになった日の朝のこと。5時という早朝の集合だったこともあり、母親の運転する車でクラブハウスに向かっていたら突然、母親が涙ぐんで声を絞り出した。
「家族はもちろん、当時から付き合っていた今の奥さんだけには、いろんな弱みを見せていたので、ずっと晴れない顔をしている僕を心配したんだと思います。『諒也がそんなに苦しんでサッカーをしているのを初めて見たよ』と言って泣いて。お母さんも一緒に苦しんでいてくれていたんだと知って、頑張るしかないという気持ちにさせられたのを覚えています」
その気持ちが引き寄せたのか、キャンプを終えて山下はようやく東京ヴェルディとの契約にこぎつける。その時にプライドは、捨てた。
「大学まで自信満々でサッカーをしてきたし、プロになれると信じていました。でも、そういう状況に置かれて、自分はその程度の価値のサッカー選手でしかないんだな、と。キャンプが終わるまで契約してもらえなかったことからも、自分はプロサッカー界の一番下からスタートするんだと自覚し、これまでやってきたことに対するプライドは全部もう、いらない、と思った。チャンスをもらった1年に全てを注いで、やり尽くしてやると決めました」
その危機感は、ずっと心に秘めてきた。ガンバでプレーしている今も「常に自分は一番下の選手」という思いが、彼を走らせ、戦わせる。
「とにかく、毎試合、自分がどうなってもいいってくらい全ての力を注ぎ切ろうと思って臨んでいます。自分を獲得してくれたクラブ、仲間にしてくれたチームに応える術はそれしかないから。何より僕は、ガンバに来て、こうして勝って…サポーターの皆さんを含めてみんなで喜ぶのが、もうめちゃめちゃ嬉しいので。だからこそ、ガンバが勝つために、しっかり貢献できたと胸を張れるプレーをしたいし、毎試合、それを自分の責任に変えて戦っています」
山下が驚異的なスピードで駆け上がるたびに歓声が上がるのは、その決意が余すことなくプレーで表現されているから。もちろん、天皇杯2回戦・福島ユナイテッドFC戦で決めた移籍後初ゴールにも、スタンドは大いに沸いた。
―
高村美砂●文 text by Takamura Misa
Back Number
関連ニュース
-
25.4.26[インフォメーション]4/29(火・祝)明治安田J1 第13節 京都戦 ガンバ公式クラフトビール販売ブース『GAMBA BEERSTREAM』出店情報&ビアスト周遊キャンペーンのお知らせ
-
25.4.26[スタジアム情報]4/29(火・祝)明治安田J1 第13節 京都戦 場外スタグルに y/OU donut (ユードーナツ)初出店について
-
25.4.26[グッズ]4/29(火・祝)明治安田J1 第13節 京都戦 グッズ情報
-
25.4.24[チーム][プレビュー]課題となるアウェイの戦い。FC東京のスタイルを消しながらガンバが試合を支配へ
-
25.4.24[チーム]FC東京戦 試合前コメント(ポヤトス監督、黒川選手、満田選手)