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2024.5.4[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW13 坂本 一彩

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 常に目の前の試合に気持ちを注ぎ、全力で戦い抜く。リーグ戦であれ、カップ戦であれ、『公式戦』という価値の重さに違いはないと考えているからだ。
 それでも「大阪ダービーだけは特別」だと話す。ガンバ大阪ユース時代から自然と育まれたそのプライドは、ガンバのエンブレムを身につけて過ごす時間が長くなるにつれ、より際立ってきた。
「ユース時代から大阪ダービー前になると決まって、コーチやチームメイトから自然と『ダービーやぞ。絶対に勝たなアカン試合や』という言葉が聞かれました。普段は、そんなふうに相手チームのことを強調することはあまりなかったと考えても、大阪ダービー前はいつも特別な空気が流れていたのを覚えています。その特別感は、実際に試合を戦う中でも感じたし、ユース、U-23と戦うステージが上がるにつれてより大きくなっていきました。他の試合とはまた違う種類の『勝たなければいけない』という気持ちにさせられるのも、大阪ダービーならでは。その度にガンバの一員として戦うプライドがより強くなる気がします」

 昨シーズン、ファジアーノ岡山に期限付き移籍をした経験も、そのプライドをより大きなものにしているという。

「ガンバを離れて改めてこのクラブの大きさを知ったし、どれだけ自分が恵まれた環境でプレーできていたのかにも気づかされた。これだけたくさんのファン・サポーターの皆さんに応援されることへの幸せと、だからこその緊張感や1プレーの重みもガンバだから感じられるもの。それらを全て力にしながら、自分の良さで勝負していきたいと思っています」

 坂本がトップチームで初めて大阪ダービーを戦ったのは22年4月のアウェイ戦だ。先発のピッチに立ったその一戦は彼に特別な重みを刻んだ。

「以前から大阪ダービーの特別感を僕なりに感じ取っていたつもりでしたけど、トップチームで戦うそれは全くの別物に感じました。スタンドに漂う熱気やサポーターの皆さんの気持ちの入り具合もいつも以上に熱く、強く感じられたし、プロ1年目ということもあってすごく緊張したのを覚えています。ただ、本当の意味での大阪ダービーの重みを感じられた試合にもなりました」

 そして、その経験は今、勝利への執着に変わっている。

「ガムシャラにプレーしていただけの2年前とは違い、今は『結果』に対する責任みたいなものを感じるようになったし、だからこそ大阪ダービーに懸ける思いもより強くなっています。特別な試合で結果を残せればチームとしても勢いに乗れるし、自分の名前をいろんな人に知ってもらう機会にもなる。そう考えても、何がなんでも勝ちたいし、僕自身も結果を残したい。自分が自信を持って臨める状態で対戦できるのもめちゃめちゃ楽しみです」

 2年前の対戦を含め、未だ『満員の』大阪ダービーでプレーしたことがない彼にとって、おそらく5月6日は、これまで以上の熱を体感する試合になる。ましてやホーム・パナソニックスタジアム吹田での一戦だ。「観客が多ければ多いほどボルテージが上がる」と話す坂本が、燃えないはずがない。
 坂本のプライドが沸点に達する瞬間が迫っている。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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